畸形嚢腫 感想

第1巻第3話「畸形嚢腫」(秋田文庫)


言わずと知れた、あまりにも有名なピノコ誕生回。あらすじを書くまでもないだろう。



【あらすじ】

夜中にブラックジャックのもとに運ばれてきた急患は、腹に大きな嚢腫を持っていた。

その嚢腫の中に人間の臓器が一揃い入っていたから、ブラックジャックが嚢腫から臓器をぽいぽいっと取り出して、人間を組み立ててしまう。そんな話。


そんなこんなで誕生したピノコは、実の家族にも疎まれ、そのままブラックジャックの家に住みつくのである。




【感想】

初めて読んだのは私が小学生のとき。かなり衝撃的だった。大学生になって嚢腫を習ったとき、

(ピノコだ、、、ピノコだ、、)

とちょっと興奮してしまった。不謹慎で申し訳ありません。

嚢腫の中に髪の毛や歯が入っていることはあるらしいのだけれど、人間の臓器ひとそろいは聞いたことがない。


先生が患者(ピノコの実の姉)にピノコを紹介する時はなんだか生き生きしてた。きっと患者が喜ぶとか思ったのかな。しかし、その反応は全く逆で...

「こんな子 私の妹じゃありません!!」と実の姉に言われて見捨てられてしまう。

先生は自分のしたことが正しかったのか悩んだだろうな。最後のコマの先生とピノコの後ろ姿があまりにも寂しい。でも、この瞬間、先生はピノコをそっと抱き寄せている。その背中に、ピノコの一生に責任を持つという覚悟が見えた。

ブラックジャックのお話って最後のコマに哀愁漂っている回多いよね。




ところでブラックジャックOVAでもカニ先生が出てくるのだけど、劇画タッチのアニメなのに漫画に忠実なフォルムで面白かった。